聖書より見たる日本農業のゆくえ 村上 周平

筆者は、高度経済成長下の日本農業の規模拡大・工業優先の現状を、聖書に記された古代ユダヤの**「禍いなるかな」**という審判の歴史と重ねて警告します。 内村鑑三らの預言者の言葉を引用し、真理(キリスト教)を拒み富国強兵に走った過去の敗北(震災、敗戦)を振り返り、現在の拡大主義は再び神の審判を招くと主張。 真の道は、デンマークのような農業立国であり、愛農会が目指す神中心のホームを基盤とし、完全自給自足を核とする**「小農5反百姓」の真理農業にあると説きます。これは「剣を鋤に打ちかえ」**て平和と繁栄を築く、神に約束された道であるとして、農民に使命を果たすよう呼びかけています。

小井田家族の立体農業の歩み 直木 葉造

岩手県九戸村にある「小井田立体農業研究所」は、賀川豊彦が提唱した循環型立体農業を三代にわたり実践しています。 創始者の小井田與八郎氏が戦後間もなく、限られた土地を立体的に利用するため、地元産の手打ちクルミを軸に、その樹間に放牧乳牛と放し飼い養鶏を有機的に組み合わせた農場を創設。クルミの木の害虫を鶏が駆除し、牛と鶏のフンがクルミの肥料になる**「人と生き物の連携プレー」**を確立しています。 化学肥料や農薬に頼らず、家族皆で**「食べていける農業」と高い自給率**を目指す姿勢は、持続可能な農の在り方と、お金やモノに依存しすぎない豊かな生き方を追求する尊い事例として、食料安全保障の観点からも大きな示唆を与えています。現在は、孫の寛周氏が加わり、通販など新たな販売にも取り組み、その歩みは将来へ向けた希望となっています。

あいのう農林業研究の方向と課題 奥田 信夫

本研究は、持続可能で環境に優しい農林業と、生産者の安定した生活の実現に向けた総合科学的な探求です。 目指す方向性として、安全な食糧生産、消費者理解の促進、そして望ましい農林業のあり方の提示を掲げています。これは内村鑑三の「世界的平和は自作農業の発達を促す」という思想や、山下惣一の「個々の農家の奮闘が戦争を止める道」という見解とも通じます。 具体的な研究テーマには、低投入安定生産技術、二酸化炭素削減、里山作り、自給飼料畜産などが挙げられます。この研究の目的は、専門家だけでなく、農業者や若者と共に学習を進め、農林業が直面する諸課題の解決を図ることにあります。